助成金申請をするために必要な就業規則について、 以下のことを説明させていただきます。
就業規則とは、従業員が職場のルールとして守るべき事項や労働条件の詳細を、労働基準法やその他多くの労働法に基づいて会社が定めた規則です。
助成金申請するためには就業規則に規定しなければ申請できない事項もあるため、慎重な取り扱いが求められます。
就業規則は、従業員の数が10名未満の会社や事業所においては、労働基準監督署への届出義務がありません。
そのため、小規模の事業者では作成していないケースがあります。
しかしながら、よく利用されている助成金の中には就業規則がないと 申請できないケースがあるため、就業規則の作成が求められます。
また、最新の法令にあった規定内容であることがポイントの1つで、作ってから4,5年も経過している就業規則では、現在の法律に合っていないため、新たに就業規則を改定することも必要となります。
助成金申請のため、新たに条文を追加する場合、各助成金の支給要件に合った内容にすることが必要です。
よくあることですが、インターネットなどの記載例を単に丸写しするのではなくて、その助成金や申請する方の状況にあった条文を作成する必要があります。
とは言っても、「どの部分の条文を追加すれば、適切な内容の就業規則になるのか?」は、法律や助成金のことを理解していないと「何をどう規定しなければいけないのか」がわかりにくいと思います。
そのため、助成金申請の専門社会保険労務士にお任せいただくことで、適切な内容の就業規則の規定がスムーズに準備できます。
※弊所 別サイト
神戸就業規則サポートはこちらへ
「助成金の申請には就業規則の規定が求められることがある」といったことを簡単に説明してきました。
それでは、どのような助成金を受給する時に規定が必要となるのか?
といったことをピックアップしてお伝えいたします。
■キャリアアップ助成金 (正規雇用への転換)
第○条(正規雇用への転換)
勤続○年以上の者または有期実習型訓練修了者で、本人が希望す
場合、正規雇用に転換させることがある。
2転換時期は、原則毎月1日とする。
ただし、所属長が許可した場合はこの限りではない。
3人事評価結果として○以上の評価を得ている者または所属長の推薦がある者に対し、面接および筆記試験を
実施し、合格した場合について転換することとする。
(参照)「キャリアアップ助成金のご案内」厚生労働省パンフレットはこちら
■65歳超雇用推進助成金 (高年齢者無期雇用転換)
第〇条(無期雇用への転換)
平成25年4月1日以降に締結された契約に係る期間が通算5年以内かつ継続6か月以上で満50歳以上の有期契約
労働者で、本人が希望する場合は、無期雇用又は正規雇用に転換させることがある。
2転換時期は、毎月○日とする。
3所属長の推薦がある者に対し、面接及び筆記試験を実施し、合格した者について転換することとする。
4無期雇用転換後の定年年齢及び継続雇用は、本則第〇条及び第〇条のとおりとする。
(参照)65歳超雇用推進助成金パンフレットより 高年齢者無期雇用転換の規定例はこちら
■両立支援等助成金 (出生時両立支援コース)
第〇条
出生前6週間から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、養育のために
就業規則第〇条に規定する年次有給休暇、就業規則第○条に規定する子の看護休暇、及び就業規則第〇条に
規定する介護休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき〇日、2人以上の場合は1年間につき〇日を限度
として、育児目的休暇を取得することができる。この場合の1年間は、4月1日から翌年の3月31日までの期間と
する。
2育児目的休暇は、1日単位で取得することができる。
3取得しようとする者は、原則として、育児目的休暇申出書(社内様式○)を事前に人事労務課に申し出るもの
とする。
4育児目的休暇中の賃金については、有給(無給)とする。
これまでご説明してきたように、助成金ごとに就業規則に規定する内容は異なります。
そのため、最新の就業規則を整えておくことは助成金を申請するため だけではありませんが、いくつかのポイントがあります。
ポイントを把握した上で、就業規則の整備をご検討ください。
ポイントは、以下の3つです。
■助成金申請時に、チェックされる就業規則のポイント
助成金申請は支給要件を満たすことも大切ですが、就業規則に記載しておかなければならない、いくつかの項目が
あります。
(チェックされる項目1例として)
①就業規則の適用範囲(正社員・パートタイマーなど、どの従業員に適用する規定なのか)
②従業員の定義が適切か(正社員・有期契約社員など、雇用形態ごとの定義がなされているか)
③労働時間の明示されているか(始業時刻、終業時刻・休憩時間、変形労働時間制の場合はその内容が適切か)
④会社としての休日が適切か(休日の設定やシフト制による休日が適切に規定されているか)
⑤賃金の締切日や支払日が適切か(給与に関連するため、注意が必要です)
他にも多くのチェックされる箇所があるため、規程の中身をしっかりと確認した上で整えることがポイントと
なります。
■雇用契約書(労働条件通知書)と就業規則の規定内容と一致しているかどうか
雇用契約書(労働条件通知書)は、助成金の申請では、対象となる従業員の労働条件や労働時間、給与等をチェック
するために必要となります。
労働条件通知書は、従業員の労働条件に変更があるたびに必要となる書面のため、その内容や労働条件が就業規則の
内容と一致しているか?といった点も重要です。
■年々高まる「育児休業・介護休業等」の規程の重要性
両立支援等助成金に関係する「育児休業・介護休業等」の規程は、少子高齢化への対策とともに、重要性を増してい
ます。
これまで、男性の社員が育児休業を取得することが少なかった小規模の会社であっても、社会的なニーズや意識の変
化に伴い、導入が進んでいます。
そのため、見落とされがちは「育児休業・介護休業等」の規程を最新の法律に合わせた規定にしておくと、スムーズ
な助成金の申請につながります。